黒帯

2010年12月2日 木曜日 by 山根 誠治

 空手をはじめた頃の目標は 黒帯を取ることだった 夢といっても良かった

黒帯まで辿りつくのは 数百人に一人といわれていた時代だ

実際 入門当初 広島には三名しかいなかった

先輩の締める黒帯は分厚くて ごつく 刺繍もはいっており異彩を放っていた

面白いもので 青帯の頃 先輩の黒帯をお借りして締めたことがある これが全く似合わない 滑稽でさえあった

やはり 相応の力がついてはじめて似合うものだ と改めて感じた

二年後 紆余曲折を経て 黒帯を取得した 自分なりに艱難辛苦を乗り越えてつかんだ

夢とも思われた黒帯を手渡され いざ締めてみるなり おもわず苦笑した

「 白帯より薄い 」(T_T) そして異常に長い

当時 帯号数4号の自分が締めると膝下まであった 「 これって7号?」

なぜかこの時期の黒帯は全国的に薄く 長かった 「 こりゃ 太れゆーことじゃ 」 思い直した

その後 この初段の帯には数多くの出来事・思い出が 刻みこまれていくのだが

無論 このときは知る由もなかった 

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