空手をはじめた頃の目標は 黒帯を取ることだった 夢といっても良かった
黒帯まで辿りつくのは 数百人に一人といわれていた時代だ
実際 入門当初 広島には三名しかいなかった
先輩の締める黒帯は分厚くて ごつく 刺繍もはいっており異彩を放っていた
面白いもので 青帯の頃 先輩の黒帯をお借りして締めたことがある これが全く似合わない 滑稽でさえあった
やはり 相応の力がついてはじめて似合うものだ と改めて感じた
二年後 紆余曲折を経て 黒帯を取得した 自分なりに艱難辛苦を乗り越えてつかんだ
夢とも思われた黒帯を手渡され いざ締めてみるなり おもわず苦笑した
「 白帯より薄い 」(T_T) そして異常に長い
当時 帯号数4号の自分が締めると膝下まであった 「 これって7号?」
なぜかこの時期の黒帯は全国的に薄く 長かった 「 こりゃ 太れゆーことじゃ 」 思い直した
その後 この初段の帯には数多くの出来事・思い出が 刻みこまれていくのだが
無論 このときは知る由もなかった